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GUNDAM PHOTOGRAPHY

 

 

この一年、ぼくは憑かれたように、この「ガンダム・フォトグラフィー」に取り組んでいた 。 赤いザクを撮影し最初の1枚が出来上がると、すぐに次のアイデアが生まれ、それは枯渇する事無く70枚分ほど続いた。18m 級のロボットや250mに及ぶ宇宙兵器の実在感に必要なことは、多くの場合、ディテールを足し、それをさらに緻密にする忍耐と巨大に見せる撮り方のたゆまない工夫しかない。僅か12.5cm、28gのビグ・ザムを前にして途方に暮れていても、だれも助けてはくれない、どうにかして59.6m、1021.2t にしなくては写真としての作品は生まれてはこないからだ。 難攻不落の素材を前にすると、最初に浮かぶアイデアは、どれもあり得ないようなシーンの連続だったが、 覚悟を決めてそれに取り組み、リアル感が伴い始めると、なんとも言えないおかしさが哀愁さえ携えて現れた。

もとは 2 次元世界の作品だったものを、写真という表現に引き上げてしまうことは、虚構の範囲を狭くすることに他ならない。つくり込むほどに恐怖感が先走りしてしまうのを、笑ってしまうような場面にすることで緩和したいと思った。ぼくが描いたガンダムの世界には、おかしさと哀しさと不安を抱えた爽快感が共存することになってしまった。

 

                          2004年11月 田島照久

 

このシリーズはバンダイ社から2002年頃、アメリカ市場向けのプラモデルのパッケージを依頼されたところから始まっている。アメリカの量販店向けのパッケージの作り方には商品が内容と同じものという鉄則があり、イラスト的なものは使えず、プラモデルそのものを撮影してパッケージに載せる必要があったのです。